昼間特割きっぷ(昼特きっぷ)の発売終了で関西の移動はICカードがお得になるのか?

移動術
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9月7日、JR西日本から昼間特割きっぷ(以下昼特きっぷ)の延長発売とその後の2018年9月30日の発売をもって終了との発表がありました。

「昼間特割きっぷ」の発売延長とその後の発売終了について:JR西日本
JR西日本ホームページ

反響は大きく「昼特廃止になったらJR乗れん」とか「京都(神戸)行けん…」など様々なツイートがなされていましたが、
昼特きっぷの発売終了と同時にICOCAによるポイントサービスの発表もされていて、

ICOCAのご利用に応じた新たなポイントサービスの導入:JR西日本
JR西日本ホームページ

さらに9月1日にはJR西日本近畿エリアでのPiTaPaポストペイ(後払い)サービスの導入により割引サービスを行うことも発表されています。

JR西日本でのPiTaPaカードによるチャージ不要のポストペイサービスの導入:JR西日本
JR西日本ホームページ

これらが代替サービスとなり、ちょっとは高くなるかもしれませんが、ICOCAやPiTaPaでの乗車で昼特きっぷのような割引が適用されるということになります。

2003年のICOCA導入から15年。昼特きっぷの発売終了でようやく関西の鉄道乗車もICカードがメインになりそうです。

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私鉄側はどうするのか?

今回の発表でJRについてはICOCAでもPiTaPaでも割引が可能な環境が整いました。
しかし私鉄側からはまだ発表がありません。

過去に以下の記事の「最終的にはICカードだけになる?」という項目にも書きましたが、私鉄側でも環境は徐々に整いつつあり、2017年3月でスルッとKANSAIカードは発売終了。
それに伴い4月からはICOCAの発売事業者が大幅に増えました。

今後予想されることとしては、2018年の秋までに

1.阪急阪神能勢北急でもICOCA発売。
それに伴いレールウェイカード発売終了。
2.時差・土休日回数券廃止。
代わりにICOCAはポイント付与、PiTaPaは割引のテコ入れで対応。

という流れになるのではないでしょうか。

そうなれば、JRでも私鉄でも、先払いのICOCAでも後払いのPiTaPaでも、きっぷや回数券、定期券の使い分けを考えることなく、お得な運賃で乗れる、ある種理想的な環境が整います。

割引の仕方が問題

ただ気になるのは割引の仕方です。

昼特きっぷの割引率は最大で46.8%(大阪ー北伊丹320円のところを昼特きっぷは1枚あたり170円)。
大阪ー京都でも37.5%、三ノ宮ー大阪でも33.3%と高い割引率なので、あまりに生温い割引率だと関西人が黙っていません(笑)。

ただ、現状のPiTaPaで言うととっても生温い割引率になってしまっています…(苦笑)。

現行のPiTaPaの割引は1ヶ月単位で割引は高くない

現在、PiTaPaでは基本的に1ヶ月(月初〜月末)間の使用状況に応じて、利用額を割引(◯円以上利用するとそれ以降10%割引)するものと、同じ区間の利用回数で割引(11回目以降を10%割引)する2種類に大別されます。

PiTaPaの割引
大手私鉄だと利用額での割引は近鉄と京阪の大津線のみ、その他の阪急、阪神、京阪の京阪線、南海は利用回数での割引です。

現在のPiTaPaの割引で問題なのは利用額も利用回数も1ヶ月でリセットされてしまうことと、そもそもの割引が高くないこと。

普通の回数券は10枚で1枚お得なのに、PiTaPaの利用回数割引は10回乗っても次の1回の10%しか割引されない。
もちろんそれ以降はずっと10%で割引され続ける(阪急は31回以降15%OFF)ので、使えば使うほど割引はされますが、回数券や定期券と同等の割引にするには1ヶ月の乗車回数では到底足りません。

私自身もPiTaPaで利用額割引が適用される阪神バスにPiTaPaで乗っても全然割引が適用されず(そもそもそんなに乗車回数は多くない)、最終的には有効期限がなく、複数人でも利用できる阪急バス・阪神バス専用のICカード「hanica」を買う羽目になっています。

利用回数での割引だと金券ショップのバラ売りのメリットを享受できない

また仮に有効期間が回数券同様きちんと3ヶ月あったとしても、普通の回数券なら11回、昼特きっぷや時差回数券ならば6回乗らないと割引にならないのであれば、金券ショップバラ売りのメリットが完全に消えてしまいます。

と考えると、利用者目線として1回目の乗車から割引を適用して欲しいところです。

1回の乗車でも割引を適用して従来の磁気カードと同じ割引をICカードで実現しているところがある

しかし、1回目の乗車でも割引を適用して、従来の磁気カードと同じ割引をICカードで実現している事業者があります。

Osaka Metro、大阪シティバス、南海バス、そして登録が必要ではあるものの阪堺電車の4事業者。

Osaka Metro、大阪シティバスと阪堺電車は1乗車につき10%引き、南海バスは1乗車につき10.7%引きと、ともに磁気カードの回数カード、なんかいバスカードと同等の割引。

しかもどの事業者も乗り継ぎ割引(Osaka Metro⇄大阪シティバス、大阪シティバス⇄大阪シティバス、南海バス⇄南海バス、南海バス⇄阪堺電車)にも対応します。
※南海バス⇄阪堺電車の乗り継ぎ以外は回数カード、なんかいバスカードでも適用

システム的には1回目からの乗車割引も可能ということになります。

でも1枚のICカードだけで全ての割引が受けられない状況は続く

こうなれば、関西の移動は先払いICOCA、後払いPiTaPaでどちらでも割引を受けられることになり、どちらか1枚持てばお得に乗れるようになりますが、一部の事業者では割引は受けられない状況が続きそうです。

それはすでに独自で割引のあるプリペイドカードを導入している事業者。

  • 奈良交通(CI-CA)
  • 神姫バス・神姫ゾーンバス(NicoPa)
  • 阪急バス・阪急田園バス・阪神バス・尼崎交通事業振興(hanica)
  • 南海バス・南海ウイングバス南部・南海ウイングバス金岡・南海りんかんバス(なっち)
  • 嵐電(らんでんカード)
  • 伊丹市営バス(Itappy)
  • 三重交通グループ(emica)
  • 高槻市営バス(Tsukica)
  • 和歌山バス・和歌山バス那賀(kinoca)

既にプリペイド式のICカードを発行している以上、発売終了になるとは考えにくく、また時間や曜日を区切った割引を全国で相互利用できるICカードの利用で行っている事業者はなく(※ポイント付与で差をつける事業者はありますが、運賃そのものを割り引いている事業者は見当たりません)、これらのカードはそのまま残ることになりそうです。

他にもプレミア付きの磁気カードを発行している会社もありますが、京阪バスグループのようにICOCAでのポイントサービスで代替している例もあるため、事業者によって自社ICカードの発行かポイントサービスかに分かれることになります。

昼特きっぷが発売終了してもICOCAとPiTaPaである程度はお得に乗れる

話がいろいろと広がってしまいましたが、今回の発表は
昼特きっぷの発売は終了するけど、その代わりにICOCAにはポイントを付与して還元するし、PiTaPaはJR西日本の近畿エリアでもポストペイ(後払い)に対応し割引しますよ。
ということでした。

割引率がどうなるのか?また私鉄側の時差・土休日回数券がどうなるのか?阪急阪神でもICOCA発売される?などなど、わからない部分もありますが、ICOCAやPiTaPaだけでもある程度はお得には乗れるようになりますよと言うことで、発表を前向きに捉えて、今後の詳細を待ちましょう。

(2018/10/1追記)
ICOCAポイントの発表がなされ、新しく記事を書きました。

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